2022年の現地採用日本人マーケットの動向

エコアズ・ウィークリー <2021年12月14日号>


おはようございます、小野です。

「日本人、全然いないですよね~、、、^^;」
「いやホント、こんなにいないの初めてです(T_T)」

最近同業他社の方々との間でよくある会話のやりとりです。

同業のパーソネルコンサルタント社さんが実施した、在タイ日系企業向け
約900社のアンケート調査結果によれば、在タイ日系企業のうち約40%の企業が
「日本人現地採用スタッフが在籍している」と回答しています。

その現地採用日本人スタッフの需要(求人)が、現在急激に伸びています。
一方で肝心の供給(人材)が全く足りていません、、、

この話題、先日開催したセミナーのトピックの一つなのですが
今回はこれについてお話させていただきたいと思います。

日本人現地採用スタッフ需要増(求人増)の背景の一つとして、
コロナの影響による業績悪化で駐在員の代替要因として、
日本人現地採用のニーズは高まってきているというものがあります。

需要増にもかかわらず、供給が全然足りていないのは何故でしょう・・・?

現地採用日本人スタッフを「タイ在住組」「日本在住組」にわけて
考えてみたいと思います。

「タイ在住組のホンネ」
現在タイ在住でタイ勤務中の日本人現地採用の皆さんは、転職に対し非常に慎重に
なっています。リスクを犯してまで敢えて今辞める必要はないと考えています。
そりゃそうですよね、、、仮に仕事が見つかっても、試用期間をパスできなかったら・・・?
帰国して2週間隔離、ビザ取得し高い費用をかけて来タイ、その後入社しても
もし万が一のことがあったら・・・?

中にはコロナ禍での精神的苦痛から日本への本帰国を検討中の方もいますし、
実際に本帰国された方も多数。一旦帰国して日本国内で勤務しながら再び
タイ国内の仕事を探している方も。

「日本在住組のホンネ」
日本在住で日本で勤務しながらタイの仕事を探している皆さんは、
リスクを犯してこの時期に敢えて越境就職する必要はないと考えている方々が大半。
コロナが(かなり)落ち着いたら改めて考えよう、まあそうですよね。。。

タイ在住組も日本在住組もこのような考えなので、凍結までとはいきませんが
全体の動きは非常に鈍くなっています。潜在的な供給はそれなりにありますが
顕在的な供給は2000年以降で最低レベルです。

上記は企業の求人ニーズの95%以上を満たす40代までの方々のホンネです。
どういうことかと言いますと、企業からいただく求人の95%が「年齢40代」まで
となっており、この95%の方々の動きが鈍くなっているという意味です。

一方で企業の求人の要件から常に外れている50代~60代(或いはそれ以上/一部
40代後半)の管理系人材層は逆に需要不足、供給が上回っているので
採用を検討される企業の皆様にとってはチャンスかもしりません。

この層(50代以上)の方々は、タイ現地採用日本人の30%以上を占めます。
配偶者がタイ人でありタイ語も堪能で、管理職経験も豊富、タイに腰を据えている
方々が多いのも特徴です。
勤務中の方はコロナ前より転職の機会を伺っているものの、残念ながら年齢の
時点で弾かれてしまいます。また、コロナの影響で失職した方々は配偶者Oビザで
タイに滞在することは可能なので、日本に帰国することなく就職活動を継続中です。

以上です。

他にも
・海外就職を希望している日本人の若者がコロナで一層減
・タイでの就職に対する相対的な人気の低下 等々、、、
様々な要因がありますが、今回は割愛します。

このような状況なので、日本人スタッフの採用を検討中の企業の皆様は
以下を検証される必要があるかと思います。
・長期戦覚悟で臨む。
 ⇒タイミング良ければすぐ採用できる可能性もあるので、アクションを起こすことは大事です。
・40代後半~60代の管理系人材、プレイングマネージャー人材の採用を検討する。
・タイ人日本語人材スタッフの採用も視野にいれてみる。
・現地採用日本人スタッフは採用せず、引き続き駐在員を派遣する。

じつは10年以上前「リーマンショック」の際にも同じように
「現地採用日本人スタッフ待望論」のようなものが一時的にブームとなりました。

しかし幹部候補としての採用が上手くいった企業は全体の5%にも満たず、
いつの間にかブームは過ぎ去りました。
当時採用され今は現地法人の責任者となった方もいらっしゃいます。
採用されたものの途中で退職されてしまった方もいますし、
結局検討するかどうかの議論が長すぎて採用活動をしなかった企業も結構ありました。

なので今回も同じ流れになるのでは・・・?
と、個人的に考えたりしながら動向に注目しています。

本日も最後までお読みいただきありがとうございました。(小野)

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