「裸の男」と「No.2」

エコアズ・ウィークリー <2022年8月16日号>

おはようございます、小野です。

今回お届けする表題のコラム、以前配信した際にご好評いただきました。
数年前なので、自身の振り返りも兼ねて今回改めて配信させていただきたいと思います。

まずはこちらの3分動画を是非ご覧ください。
「裸の男とリーダーシップ」https://goo.gl/SqViU

ワシントン州ジョージの野外音楽フェスティバルで起こった、実際の出来事です。
多く観客が芝生に腰掛けフェスティバルを楽しむ中、明らかに一人だけ奇妙な
上半身裸の男がいました。周囲が男をあざ笑い、或いは見て見ぬふりをする中で、
異変がおきます(動画25秒)。

突然別の男が現れ奇妙な男のダンスに心酔したかのように、この2人目の男性は
裸の男のダンスをフォローしはじめたのです。さらにこの手招きする2人目の男性に
こたえて(動画35秒)、3人目、4人目が踊りに加わったのです。
そこから奇跡は起こりました。
突然驚くような数の人々が輪に加わり踊り始めたのです!

※動画の中の解説(訳)を一部抜粋します。
「最初のフォロワーになるのは、勇気がいる」
「最初のフォロワーは表に出ない形のリーダーシップだ」
「人々は、真似をするのにフォロアーを見るのだ」
「臨界点を超えた!ついにムーブメント発生!」
「今や飛び込まない方が、バカにされ、リスキーだ」
「単なる一人のバカをリーダーに変えたのは最初のフォロワーだ」

いかがでしょうか。

私自身、久しぶりにこの動画を観て、組織(チーム)について改めて考えさせられました。
海外でマネジメントをおこなう我々にとって、ポイントが随所に散りばめられているこの動画、
改めて感じたことは「No.2」の重要性です。

我々外国人が海外でビジネスを進めていくにあたって、信頼でき且つ自分の意向を汲み
取ってくれ、それを絶妙なニュアンスでローカルスタッフに伝えて実践してくれる、
いわゆる「No.2」「右腕」的なローカルスタッフの存在抜きに、組織の発展はありえません。

例えば、下記のような課題を抱えている組織、、、
「日本人の業務量が必要以上に多い組織」
「日本人とタイ人のコミュニケーションが上手くいっていない組織」
「日本人が何かと『タイ人は、タイ人は、、、』とステレオタイプで物言う組織」
「日本人に対しタイ人が意見を言いにくい組織」
「日本人が日本語スピーカー人材の意見しか聞かない組織」

ローカルNo.2がいれば、そもそもこういう問題は起こらないのではないでしょうか。
蛇足ですが、最後の「日本人が日本語スピーカー人材の意見しか聞かない組織」、
それを不満に感じ退職するタイ人社員は結構多く、よく聞く転職理由の一つです。
こちらはそのつもりが無くても「うちの上司は日本語ができる社員ばかり優遇する」と、
知らないうちにレッテルを貼られている可能性もあります。

海外であるが故に、組織の発展にはフォロワーシップ能力高きローカルNo.2の
存在は欠かせません。日本人リーダーがいくら一生懸命頑張ったところで、
タイ人スタッフからすれば、「上司の命令だから」「仕事だから仕方ない」
「日系企業だから日本人が全て決める」というような感じで、単なる
「日本からやってきた奇妙な裸の男」で終わってしまう可能性大です。。。

しかし、タイ人社員から人望があり尊敬されているローカルNo.2が、皆に頑張る姿を見せ、
周囲をグイグイ引っ張っていくような存在であれば、組織は理想的な方向に向かい、
運営はより円滑に進むでしょう。動画のように、第2のフォロワー、第3のフォロワーが
増えていき、組織に大きなムーブメントを引き起こします。

反対に、ローカルNo.2だと思っていた社員が、実はリーダーである自分に対し
超ネガティブで、表面的にはフォロワーを演じているものの、自分のいないところで
社員に対しマイナス・ワードをガンガン発信している場合もあります。
或いは本人には悪気は無いのに、感覚の違いから方向性が微妙にどんどんずれていく。。。

海外で活躍する日本人リーダーにとって、ローカルNo.2は本当にありがたく頼りになる
存在であると同時に、一歩間違えれば組織を崩壊させかない危険な存在になり
得るのも事実です。

日本国内でなく海外でビジネスをおこなっている以上、やはりその国の人間が自国の
企業のキーパーソンとしてマネージメントを担うべきであると思いますし、これこそが
ローカル社員へなかなか権限委譲できない昔からの日系企業の課題でもあります。

こういう話もあります。
マネージメント権限をローカルスタッフに移譲し「現地化」を進めていたが、
ローカルNo.2が育たぬまま、いつの間にか日本人駐在員を減らしていくことの方が「目的化」
してしまったために組織が機能不全寸前まで陥り、駐在員が鎮火を繰り返す事態に、、、
タイに限らず海外の日系企業における「現地化あるある」ですが、これでは本末転倒です。

最後に、、、
動画の中の解説に「最初の数人のフォロワーとあなたは上下関係無く、大切に接しなければ
ならない」とあります。海外でビジネスをおこなう上で必要なのは、「裸の男」の強烈な
リーダーシップでなく、第1、第2、第3のフォロワーとの、信頼関係のもとにおける、
日々のコミュニケーションにあると思います。

貴社には信頼できるローカル・フォロワーはいますか・・・?

本日も最後まで読んでいただきありがとうございました。(小野)

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