エコアズ・ウィークリー <2023年3月28日号>
「タイ語が話せる日本人が少なくなりましたね、、、まあ弊社もタイ語は不要
ですが、なんか寂しいですね。」
おはようございます、小野です。
以前より現地採用日本人の採用に携われている、タイ駐在経験が20年以上に
わたるタイ語流暢なAさんとの、会話の中の一言です。
仰るとおりで、私自身も現場で同じことを感じています。
そもそも今はバンコクで要タイ語の日本人求人が圧倒的に少ないのですが、、、
明らかに以前と比べ、タイ語が流暢な若手日本人現地採用スタッフが、減っています。
減っているというよりも皆無、タイ語流暢な20代の日本人は今や天然記念物的に希少です。
※ここで「以前」というのは2010年以前を指します。
このコラムにおいて何度もお話させていただいている、
「タイで働きたい日本人が減っている」という大前提はありますが、
それを差し引いたとしても、やはりタイ語ができる日本人は大幅に減少しています。
何故でしょう・・・?
検証してみましたが、以下の5つの理由が大きいのではないかと思います。
1.就職前にタイ語を勉強しない
以前は渡タイ後にタイ語を半年から1年間まずは集中的に勉強して、最低日常会話レベル
のタイ語を習得してから就職活動、というのがタイ就職のスタンダードでした。しかし今はタイ語
を学ばずにいきなりタイで就職活動、というのが一般的です。しかもリモート就活で、タイは
選択肢の国の中の一つにすぎない、という場合が多いです。
これは20代から30代前半の日本での所得が大幅に低下していることに加え(例えば30代
前半の男性で15年前と比べ平均年収は200万円も減っています)、円安とタイの物価の
上昇で生活・教育コストが円ベースで大幅に上昇しているため、半年から1年も無職の状態で
生活をしていく余裕が無い、というのが現状です。
2.バンコクの国際都市化
この10~15年の間にハイスピードで国際都市化が進んだバンコクは、以前に比べると
タイ語が出来なくても不自由なく暮らせるようになったため、「敢えてタイ語が話せ
なくても普通に生活できる」という背景があります。
3.タイ人の友人が少ない
以前はタイに来たからにはやはりタイ人の友人をつくって現地に打ち解ける、というのが若者
たちの当たり前の構図だったのですが、最近は日本人同士で日本語でつるむ若者が増えた
ような気がします。当然タイ語は上達しませんよね^^;
4.永住覚悟者の減少
以前は「タイに永住するつもりです!!」という方が多かったのですが、最近は
キャリアの中の数年(一部)をタイで考えている、という若者が増えた気がします。
タイ人パートナーと結婚し家庭を築くというのも永住の大きなきっかけの1つでした。
参考までに、ここに面白いデータがあります。2000年は日本人男性-タイ人女性の
婚姻件数は年間約2,100組ほどだったのですが、2014年には約900件ほどに激減しています。
先に述べた「30代の日本人男性の年収の大幅減」というのも関係あるような、、、
もはや日本男子はタイ人女性にとって魅力的ではなない?というのも悲しい話です^^;
5.日タイ恋愛事情の構造的変化
ここでは日本人男性-タイ人女性のパターンにフォーカスしますが、以前は旅行でタイを
何度か訪れるうちにタイ人女性と知り合い恋に落ち、コミュニケーションをとりたいがために、
日本人男性が必死でサバイバル的にタイ語会話を学習するというケースが多かったです。
最近は、日本留学中の或いは勤務中の高学歴の日本語流暢なタイ人女性と日本で
知り合い、タイ人彼女の帰国とともに日本人男性もタイに渡航する、というケースが多く
なりました。以前の求職者はギラギラした雑草魂の日本男児が多かったのですが、最近は
日本のごく普通の若者という感じの方がマジョリティです。
以上です。
タイ語に関し、最近日本人求職者の方々と日々接しながら感じることをまとめてみました。
あくまで全体的な傾向や私自身の主観に基づくものであり、もちろん例外的な方々も
いらっしゃること予めご了承ください。
現在タイ語が流暢な日本人現地採用スタッフは、既にタイに腰を据えている40代以上の
方が圧倒的に多いのが現状です。採用する企業側も、(特にバンコクにおいては)最近は
日本人人材にタイ語を求めることが少なくなってきています。仮に貴社がタイ語可能な日本人
人材の採用を計画される場合は、上述のマーケットの事情を踏まえた上で、40代以上の人材の
採用を積極的に検討されてみては如何でしょうか。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。(小野)
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