タイ人目線の福利厚生

エコアズ・ウィークリー <2023年8月8日号>

「え?医療保険にも入っていないんですか・・・?
日系企業なのに、、、それなら応募しません。」

おはようございます、小野です。

タイ人求職者の方に仕事を紹介する際に、弊社から必ず説明させていただく
「福利厚生」。その内容によっては、せっかく「会社案内」「募集職種」「仕事内容」
「勤務地」に興味を持ったにもかかわらず、「それなら応募しません。」と残念ながら
応募を辞退してしまうことは、意外とよくあることです。

今回は「それが無い」ことによって、タイ人求職者の企業への応募判断が左右される
「あるある」ならぬ、「福利厚生ないない」について、いくつか例を挙げながら
説明させていただきたいと思います。(※実際に弊社に登録されている、20代~
30代前半までの、21人のタイ人求職者の方々にヒアリングを実施しました。)

【医療保険】 10⇒7
社会保険(Social Securiy)以外に、企業が団体医療保険に加入していないケース。
タイの社会保険の実態については先々週の当コラムのトピックで詳しく扱いましたので、
今回は内容は割愛します。国の社会保障制度の現状が厳しいので、タイ人にとっては
入社する企業の「医療保険加入有無」は、かなり重要な意味を持ってきます。

90%以上の日系企業が今や加入している団体医療保険。応募しようと考えていた
企業が医療保険に加入していないと、タイ人からすれば冒頭のように
「え・・・?日系企業なのに医療保険に加入していないんですか・・・?」と、応募を見送る
方もいます。ただし、そもそも基本給料が他社より相当良かったり、賞与が多い場合は
医療保険加入有無は応募辞退の決定的な要因にはなりません。

※上記10⇒7というのは、医療保険に加入していれば人材が集まる状態を「10」と
 すれば、加入していないことにより状態が「7」に落ちてしまうという、機会ロス的な
 意味の数値となります。以下同様。

【プロビデント・ファンド】 10⇒9
日系企業でも年々加入企業数が増加している退職金積立制度、いわゆる
プロビデント・ファンド(PF)。応募しようとする企業がPFに加入していると
「この会社は福利厚生がしっかりしているな」と、イメージアップにはなりますが、
現段階ではPF加入有無によって応募に大きな影響を及ぼすほどではありません
(団体医療保険と違い、加入していないことがそこまでマイナス評価にはならない)。

【シフト勤務】 10⇒2
サービス業はシフト勤務が当然ですが、日系企業への就職を希望しているタイ人求職者
の殆どは「月-金勤務、土日祝日は休み」という前提で仕事を探しています。なので、
このケースの場合は、「シフト勤務が嫌だ」というよりは、最初から「オフィス勤務希望組」 
「サービス業希望組(シフト勤務OK)」に明確に分かれていると言ったほうが
表現としては適切なのかもしれません。その割合が10:2程度というニュアンスです。

【土曜勤務】 10⇒8⇒5⇒0.5
製造業・非製造業問わず、土曜勤務有無やその頻度によって、求職者の企業への応募
決定的なレベルで大きく変わってきます。

8⇒月に1回土曜勤務
5⇒隔週土曜勤務
0.5⇒毎週土曜勤務 

中には「年に数回だけ土曜勤務あり」という企業もありますが、これはさほど応募に影響は
ありません。「隔週土曜勤務」で応募者は半分或いはそれ以上に落ち、「毎週土曜勤務」に
なると「この企業に応募したい」という方は残念ながら皆無になってしまいます。

【リモートワーク】 10⇒9.5
コロナ禍では「リモートワークが無い会社には絶対に応募しない!」「家族が反対する」等、
過剰なまでに応募を見送る方が多数いましたが、最近は落ち着きつつあります。
今後もリモートワーク有無によって、応募者数が極端に落ちることはない気がします。

如何でしょうか。
特にオフィス系人材にとって
「医療保険」「プロビデント・ファンド」「土曜勤務」、この3つは応募を決定する際の
大事な判断材料となります。もちろんまずは「仕事内容」「勤務場所」「給料」
ありきですが、今回はタイ人が仕事を探す際の「二次的な重要要素」ということで、
参考までにお話をさせていただきました。

本日も最後まで読んでいただきありがとうございました。(小野)


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