好子と嫌子

エコアズ・ウィークリー <2021年5月5日号>

おはようございます、小野です。

「何かあるのなら、意見を言いなさい。」
「しっかり伝えないとこっちにはわからないよ。」

部下「・・・」

管理職の皆様は、部下との間に一度はこのような経験をしたことがある方も多いかと思います。

何を隠そう私自身、過去に上司へ意見を言うことが苦手でした。
いや、大嫌いでした。
理由は、
「どうせ批判される」
「ダメ出しされる」
「結局最後は上司の意見に従わざるを得ない、、、」
このように考えていたからです。

行動分析学の理論に、「好子(こうし)」「嫌子(けんし)」という考え方があります。
「よしこ」と「いやこ」ではありません(笑)。

好子とは人の行動を「強化」するできごと。反対に、
嫌子とは人の行動を「弱化」するできごとです。

わかりやすく「好子」「嫌子」を我が家で実際に起こったシーンで例えると(汗)、
以下のような感じになります。

▼洋服屋にて。
A:好子が機能するケース
妻「ねえ、どっちがいいかな~」
私「やっぱ右やろ~」
妻「じゃあ右にするね!ありがとう♪」
私「( ̄ー ̄)ニヤリ」

B:嫌子が機能するケース
妻「ねえ、どっちがいいかな~」
私「やっぱ右やろ~」
妻「え~!!何で!?う~ん、、、ハァ。。。ブツブツ。。。」
私(じゃあ聞くなよ~・・・)←心の叫び

Aは私の「意見」という「行動」に対し、妻の「喜び・感謝」という「好子」が機能しています。
一方でBは私の「意見」という「行動」に対し、妻の「拒否・嫌悪」という「嫌子」が機能しています。

Aのように妻が喜んでくれれば、また一緒に行って服を選びたいなと思いますが、
逆にBのように妻に不満な顔をされれば、面倒くさいな~、次回は一人で行って
もらおうと考えます。我が家の出来事を持ち出してしまい、スイマセンでした^^;

話題を戻します。
過去の私は、「上司に意見を言ってもロクな事がない」と思っていました。
にもかかわらず、上司は、「何かあるんなら、ちゃんと意見を言いなさい!」
「何で君は提案して来ないの・・・?」
「全く君は報告をろくにしてこないんだから。。。」と、繰り返し繰り返し、、、

過去に「意見を否定される」という「嫌子」を何度も経験している私は、ますますふさぎ込む。
そして手遅れになってから報告し、また怒られる。もう悪循環です。

ではどうすれば部下は意見を言ってくるようになるのでしょう・・・?

基本的に部下は上司に意見を言うのを嫌がりますし、躊躇するものです。
勿論そうでない部下もいますが、これは稀なケースで、大半の部下は遠慮します。
それならば、意見を「もらう」のを待たずに、こちらから「もらい」に、
取りに行ってみてはいかがでしょうか。

週に1回、2週間に1回、忙しい方は1ヶ月に1回、1回あたり5分でも10分でも良いと思います。
いや、たった一言でも良いかもしれません。

「最近どう?」
「何か問題は無い?」
「この件に関して私はこう思うんだけど、君はどう思う?」

1対1の個別ミーティングで、しっかり部下の話に耳を傾け関心を持って聞く。
そして部下の意見を否定せずに受け入れる。
どうしても受け入れがたい意見があったとしても、ぐっとこらえて我慢して最後まで聞く。
「承認」「同意」「賞賛」という「好子」を駆使してみてください。
そして「私はあなたを支援していますよ、一緒に頑張って行きましょう」という心と態度を
持って部下に接する。上司からの強力な援護射撃があれば、部下は心強いと感じ、
イキイキと仕事をし、パフォーマンスはより向上するでしょう。

間違っても「誘導尋問」や「威圧的な態度」はやめてください^^;
自分はそう思っていなくても、部下にとって上司は組織上絶対的な権力者なんです。
存在そのものが「威圧的」ぐらい持っておいた方が良いかもしれません。

部下との関係づくりが前提として出来あがっている上司は、
例えば部下が「無理難題」な意見を言ってきた時でも、「嫌子」が効果的に機能します。
上司「なるほど~。でもこの件に関してはね・・・(以下、上司の反対意見が続く)」
部下「そうですか、わかりました。ありがとうございます!」

仮に現在貴社の職場が、部下が全然報告しない、意見を言ってこない等の雰囲気の場合、、、
ちょっと逆説的になりますが、部下を管理していると思っていたはずが、上司が自ら
与えた「嫌子」によって、部下が「報告しない」「相談しない」「提案してこない」等、、、
実は気づかないうちに、部下の行動に職場をコントロールされているとも言えるのです。

本日も最後まで読んでいただきありがとうございました。(小野)

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