日本語人材、空前の買い手市場!!

エコアズ・ウィークリー <2021年1月26日号>

おはようございます、小野です。

今回はタイトルの通り、「日本語スピーカー人材が空前の買い手市場」ということに
ついて、お話をさせていただきたいと思います。

いまタイの日系企業の採用マーケットにおいて、タイ人日本語スピーカー人材は空前の
買い手市場となっています。理由は言うまでもなく、新型コロナウィルスによる景気低迷の
長期化、他国に比べてもタイ経済の落ち込みによる転職市場への影響は深刻です。
リーマン・ショック時の比ではありません。
間違いなくこの20年間(つまり21世紀!)では求職者にとって最悪の状況です。

2年前までは日本語スピーカー人材は完全な売り手市場で、平均的な人材、例えばN3で
日系企業に数年経験があるような人材であれば問題なく(且つ比較的容易に)転職できました。
時期を問わず年間を通して新卒人材のニーズもありました。

我々エージェントサイドも日本語人材を集めるのに苦慮していましたが、
誤解を恐れずに言うと、今は待っていても人材の方から応募してきます。

「就職難の日本語スピーカー人材」と言っても、5つのカテゴリーにわけることができるので、
今回はそれについて説明させていただきます。
※弊社は在バンコク日系企業への紹介をメインとさせていただいておりますので、
 あくまでもバンコク人材マーケットの話になります。 

▼下記5つのカテゴリーに分類されます。
1.新卒組
2.留学からの帰国組
3.リストラ組
4.会社閉鎖組
5.一般転職組

1.新卒組
一番就職が厳しいのはこのカテゴリーの人材かもしれません。とにかく需要がありません。
給与相場も下がっており、N3人材でTHB18,000前後、N2人材で23,000前後とTHB5,000前後
下落しています。N3人材はそもそも日本語が上手くないので、現在は「日本語人材」としての
就職は難しいかもしれません。更に本来ならばN2の実力があるのに、新型コロナウィルスの影響
による日本語能力テストの中止により、N2取得チャンスを失った方も多数います(12月実施の
テストの結果が今週出ますが、、、)。骨は折れるけども優秀な新卒人材を、時間をかけて
育てる準備と覚悟のある企業においては、今は採用のチャンスだと思います。

2.留学からの帰国組
大学在学中に日本に留学し、途中に帰国せざるを得なくなり帰国してきた人材、或いは数年の
勤務経験後、日本に留学し途中(或いは何とかコースを終了し)タイに帰国してきた人材。
このカテゴリーの人材は、1の新卒カテゴリーより高い日本語能力と日本在住経験という貴重な
経験があるので、1の新卒組より需要があります。
蛇足ですが2011年の東日本大震災の際、台湾、香港、韓国、中国の日本留学組が今回と同様に
大量に母国に帰国しましたが、当時タイ人留学生は僅かでした。
10年ですが、時代の流れとタイ経済の発展に伴いうタイ中間層の増加を感じずにはいれません。

3.リストラ組
勤務先の業績悪化によりリストラされたカテゴリーの人材です。厳しい言い方をすると、
このカテゴリーの人材は、企業側からすれば「必要ない」「消去法的に解雇の優先順位が高い」
「給与と実績が見合わない」「日本語だけでスキルが無い」人材が圧倒的です。
中には1年近く長期失業している方も多く、希望給与を大幅に下げてもなかなか就職先が見つかりません。
※もちろん経験豊富で優秀な方も多いですが、給与が高い方が大半のイメージです。

4.会社閉鎖組
勤務していた会社がタイから撤退したため職を失った方々です。
「不可抗力」により職を失った方々で、「入社したばかり」「3年勤務」「10年近く勤務」等、
様々な方がいます。中には「会社が大好き、本当はここに骨を埋めたかった」という方もおり非常に残念です。
当然優秀な人材もたくさんいますが再就職先がなかなか見つかりません。
希望給与をTHB5,000から中にはTHB30,000(!)下げても再就職先が見つからない優秀な人材も
多いのですが、1社で10年の経験のみと良くも悪くもその企業に染まっている人材もおり、
採用する企業側は見極めが必要です。

5.一般転職組
「給与アップしたい」「新しい経験がほしい」「同僚とのウマが合わない」等、、、
いつもどおりの一般的なタイ人日本語スピーカーの転職組のカテゴリーです。
しかし退職してしまった後に今のような状況になり、転職先が未だに見つからず
「こんなはずではなかった」とかなり焦っている方も多いです。4の会社閉鎖組
同様に優秀な人材が多い反面、いわゆるジョブホッパーも多いです。

いかがでしょうか。
「就職活動中の日本語スピーカー人材」と言っても、現在は5つのカテゴリーに
分類することができます。こういう状況は初めてですが、どのカテゴリーにも優秀な
人材は必ずいますので、「このカテゴリーの人材OK、このカテゴリーの人材はNG」
と一括にしレッテルを貼るのではなく、あくまでも採用の際の一つの参考にしていただければと思います。

本日も最後までお読みいただきありがとうございました。(小野)

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