上に日本人がいるから

エコアズ・ウィークリー <2021年3月30日号>


おはようございます、小野です。

日系企業に勤務している30代のシニアクラスのタイ人材の、
退職理由の一つに、「新しい経験が積みたい」というものがあります。

しかしこれはあくまでも典型的な表面的理由で、掘り下げていくと、
「実は今の組織では上が日本人駐在員なので、これ以上のステップアップが望めないから、、、」
という本当の理由にたどり着くことがあります。
仕事のできるいわゆる「キャリア志向」のタイ人に多い理由です。

経験を積むに連れて、主任⇒課長⇒部長⇒役員⇒社長と、役職/待遇面においてステップアップ
していくのが、組織の大小を問わず一般的なキャリアパスです。

今やタイ日系企業もローカライゼーションが進み、
優秀なタイ人人材を幹部社員として抜擢する企業も随分増えてきました。

その一方で、社長・役員は勿論、部長や課長職までの大半が、全て日本人という
企業が未だに多いのも事実です。

更にその役職者は3年から5年のスパンで帰任し、新任に入れ替わるケースが多い。
「自分よりタイにおける社歴も短く語学もできない上、ASEANマーケットに精通して
いない上司がなぜ・・・?」と面談時に不満を漏らすタイ人の方が多いのも事実です。
これではタイ人社員のモチベーションが上がりにくく、つい転職を考えてしまうのも頷けます。
(もちろん退職時に勤務先にこのようなストレートな理由を言う方は皆無です。)

企業の人事がこのような構造になっている日系企業は、残念ながら優秀なタイ人社員が
活躍の場を求めて退職してしまいます。

やはりタイ現地法人は最終的にはタイ人によってオペレーションがなされるのが本来の姿で、
ローカライゼーションが進んでいる日系企業は、タイ人上司の下に若手駐在員が配置、
という企業も最近では見られるようになってきました。
駐在員の上司はタイ人部長、という企業も今では決して珍しい話ではありません。

反対に全ての部署のトップ及びNo.2が日本人が占める、という企業が多いのも事実です。
もちろん最低限の日本人社員は必要だと思います。このあたりのさじ加減に苦慮されている
企業が多いのが現状ではないでしょうか。

会社の中長期ビジョンや世界全体からのグローバル戦略の策定など、本社からの落とし込みが
必要な部分でもあります。

我々経営幹部が思っている以上に、このあたりを現場のローカルスタッフたちは
恐ろしいほどよく観察しています、、、^^;

蛇足ですがローカライゼーションで言えば、中華圏や韓国などでは日本人がゼロという
日系企業が多いのも事実で、弊社台湾法人もトップが台湾人で、その部下に日本人という組織です。

同じ中華圏でもシンガポールはローカライゼーションという意味においては、他の中華圏に比べ
遅れをとっているような気がします。シンガポール含めASEAN地域は全体的にローカライゼーション
が上手く進んでいない企業が多いですが、これには地理的なものや語学力、文化や歴史的背景等、
双国の複雑な要素が絡み合っている気がしてなりません(10年以上も前からの個人的研究テーマ
ですが、いまだに具体的な解決策がみつかっていません、、、)。

皆様は今回のトピックに関し、どのようにお考えでしょうか・・・?

本日も最後まで読んでいただきありがとうございました。(小野)

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