様変わりした現地採用日本人の採用プロセス

エコアズ・ウィークリー <2022年11月8日号>

「お仕事の紹介にはまずは弊社タイオフィスにお越しいただき、
ご登録いただく必要があります。」

「実際に訪タイしないと、企業の採用担当者は、『この方は本当にタイで働く気が
あるのか?』と思われ、そもそも面接の機会をいただけません。」

おはようございます、小野です。

上記メッセージは、実際にタイで就職を希望する日本人人材に対する、人材紹介会社
からの定型的なメールの返信文章です。ただし、2000年前半の話です。
※本コラムはタイ向けなので、「タイ」と記載しいておりますが、タイに限ったことではありません。

当時はタイで働きたいのであれば、実際にタイに来て就職活動をおこなうというのが
当たり前の風潮でした。訪タイが難しいのであればその時点でアウト、
人材紹介会社から足切りされていました。

なので、日本在住でタイ就職を希望する方々は有給をとり1週間ほどタイに滞在し、
滞在期間中に出来るだけ多くの企業の面接を受け内定を勝ち取るという、まさに
「人生をかけた」就職活動に臨んでいました。

或いは日本での仕事を退職し、まずは訪タイしバンコクでタイ語を勉強する。
ノービザで出入りしビザランを繰り返しながら、仕事が決まるまでタイに居続ける。
↑この時代にタイで就職し、現在は企業の要職に就いてタイでご活躍中の方々も多数。
 当メルマガの読者の皆さんにも、当時のタイ就職組の方々がたくさんいらっしゃいます。

人材紹介会社は、優秀な人材を競合他社より早く確保するために、日本の主要都市で
定期・不定期に「出張タイ就職セミナー」たるものを開催していました。

「全てオンラインで完結」の現在の感覚からすればあり得ない話ですが、これが「常識」でした。

この現地採用日本人スタッフの就活プロセスは、ITの発達とともに2010年前後から徐々に
ハイブリッド化(リアルとオンラインの融合)していきましたが、コロナ禍で完全に変貌を
遂げました。いわゆる「リアルで会わずに採用する」という完全オンライン採用プロセスです。

特に国境を超えた移動はコロナ禍で厳格に制限されていましたので、人材に会いたく
ても会えません。当初は「面接はコロナが落ち着いてから、、、」というパターンもありましたが、
コロナは我々の想定を遥かに上回る長さで収束せず、いつまで経っても落ち着きませんでした。

やはりリアルで会ってから決めたい、というのが採用する企業側のホンネ。
同じくリアルに会社を訪問してから決めたい、というのが日本在住の人材側のホンネ。

ようやく国をまたいでの移動が緩和されてきましたが、
既に潮流が大きく変わってしまったので、もう元には戻らないでしょう。
これには企業、求職者、人材紹介会社の3者全ての事情も複雑に絡んでいます。

仮に採用する企業側が求職者に対し、
「では最終面接はタイで実施しますので、訪タイスケジュールを調整してください。」と
伝えれば、求職者の方は、
「並行して受けている企業は、WEB面接で完結するので、残念ですがそちらを優先します。」と
なってしまいます。そもそも最近の求職者は勤務地タイのみにこだわっていないので、他国の
WEB面接実施企業に採用スピードで負けてしまいます。

日本在住の求職者が、
「どうしても実際に貴社を訪問したいので、出来るだけ早く訪タイします。」と伝えたとします。
しかしタイ在住の求職者には物理的リアル・スピードでは勝てません。
或いはもし企業にとって非常に好印象な人材がWEB面接のみ対応可能な場合で、
人材の甲乙つけがたい場合、WEB面接対応可能な人材を優先して検討せざるを得ない
状況が大半になるでしょう。

人材紹介会社が、
「訪タイ前提でないと登録は受け付けません。」
「お仕事の紹介は、タイに来てからです。」など、時代錯誤なルールを日本在住求職者に
押しつければ、その時点でこの時代錯誤な人材紹介会社は見切りをつけられるでしょう。

如何でしょうか。

これからの時代、どうしても「リアルで人材に会ってから決めたい!!」という方は、
「この人材こそは」と超好感触だと思った場合に限っては、採用側が直ちに日本まで
人材に会いに行くというのが、唯一且つ最も効果的な方法だと思います。

このご時世だからこそ「リアルで会う」ことに価値がありますし、わざわざ自分の場所まで会いに
来てくれた人材からすれば、(良い意味で)かなり強烈なインパクトを残すことになります。

実は私自身はいまだに「リアルで会いたい」派なので、「この人材は」と思った場合は、
実際に会いに行こうという考えです。とは言っても2022年11月現在の考えなので、
来年の今頃は世の中の変化とともに考えが変わっているかもしれませんが、、、汗

本日も最後まで読んでいただきありがとうございました。(小野)

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